Epizootic Catarrhal Enteritis

ECE・コロナウイルスの治療と最新情報


コロナウイルスについて (Corona Virus)

ECEはコロナウイルスの1種で、「フェレット流行性コロナウイルス」と呼ばれます。コロナウイルスには「フェレットコロナウイルス」「フェレット全身性コロナウイルス」もあり全部で3種類です。そして善玉コロナウイルスも悪玉コロナウイルスもありますし、善玉コロナウイルスが悪玉コロナウイルスに変化する場合もあります。

ほとんどのフェレットやイタチ科の動物が遺伝子として生まれつき体内にもっています。ほとんどというのは、コロナウイルス遺伝子をもっていても遺伝子変異によって検査結果で検出されない結果が出て、コロナウイルスがいないと判断されてしまう事例が数十パーセントかあるからです。昔の検査方法ではさらに精度が低く、未知のウイルスではないかとさえ言われていました。最新の検査技術でコロナウイルスはフェレットにもともと存在するものだということがわかりました(人間の腸に大腸菌があるのと同じようなものです)。

昔はECEをグリーンウイルスと呼んでフェレット同士で病気感染していくという説がありましたが、現在は最新研究の結果、強いストレスがきっかけで免疫力が低下して、コロナウイルスが活発になり腸炎を引き起こすという説に変わりました。どこの繁殖場のフェレットでも同じです。検査技術の向上と同時に、いい治療方法や薬も出てきています。人間の大腸菌のように、コロナウイルスを消滅させたり、ワクチン予防するということはできません(善玉コロナもあります)が、致命的な病気でなくなり、対処療法で快復します。

緑の下痢便の症状を出す場合もあれば、普通の下痢便になることもあります。ごくまれに脳神経障害(まっすぐ歩けない、くるくる回ってしまう)こともおきます。コロナウイルスが体内にいても、無症状で発症しないで寿命をまっとうするフェレットがほとんどです。他の動物や人間に感染することもありません。

免疫力が極度に低下したときに、コロナウイルスが活発になり腸炎がおきて、緑色の下痢を発症することがあるのです。

複数飼育中、新入りフェレットをお迎えしたとき、他のフェレットと遊ばせたとき、フェレットがたくさん集まるイベント等に参加したときにおきることが多いです。ほかのフェレットと接触して病気が感染したと勘違いしやすいしやすいですが間違いです。嫌な体験でストレスが過剰になって免疫が低下したりします。1匹で飼育していて他のフェレットと接触もなければおきにくいものですが、高齢や病気で免疫力が低下していて、環境が大きく変化するようなストレスが重なるときも腸炎を引き起こします。動物病院で検査などをうけてストレスになったという例もあります。



緑色の下痢をしたからといってあわてないことです。コロナウイルス性腸炎であっても、病院の整腸剤処置ですぐに快復できますので心配する必要はありません。単なる消化不良や風邪が原因で下痢をすることもあり治療方法を変えないといけない場合があるので、必ず獣医さんの診察をしてもらってください。


お迎え症候群について

家族としてフェレットを飼育していて、ある日新しいフェレットをお迎えしたときにいきなり一緒にした。友達の家に遊びにいったときのその家のフェレットと遊ばせた。フェレットがたくさん参加するイベントに参加した。その数日後から緑の下痢便をすることがたまにあります。これは他のフェレットから病気を移されたものでなく、もともと体内にあったコロナウイルスがストレス起因で活発になり腸炎をおこしたもの、あるいは毛つくろい等で舐め合うことで雑菌による腸炎をおこしたもの等です。必ずしもコロナウイルスとは限りませんが治療はほとんど同じです。

親戚や友達の家やペットホテルにフェレットを預けたとき、環境変化ストレスが起因で腸炎をおこすこともあります。

治療と予防について

免疫の力で数日後に自然に治ることもありますが、水下痢が続く場合は、整腸剤の投与で治療します。コロナウイルスといっても危険なものではなく、大腸菌のような腸内細菌と同じでもともと常在していると考えておくことです。便の状態(水下痢や色)や嘔吐物、衰弱状態をよく観察して、何がストレスになったかを考えてみてください。

下痢を止める処置、整腸剤、脱水症状をとめる処方をしてもらいます。ドライフードよりフードをふやかして消化をよくする食事にするのも方法です。あとは下痢が治まるまで食事療法です。病院で処方してもらう下痢時のキャットフードA/D缶やダックスープ等で栄養を補給(強制給餌になるかもしれません)を続けることも必要になる場合があります。

Williams博士はアモキシリン抗生物質を飲ませる(10−20mg/Ib 1週間毎日2回)ことを推奨しています。他には腸を保護したり炎症を抑えるためにPepto Bismol や Kaopectate (1-2ccを2〜3回/日)を投与する方法もアメリカの獣医によっておこなわれています。現代はよりよい新しい薬がでてきていますので、フェレットに詳しい獣医さんに相談してください。

 下痢の症状が出ているときは、他の動物との接触は避けましょう。ストレスが増えて症状がひどくなることがあります。また他のフェレットが体調不良になるケースもあります。

予防は、免疫力を落とさないようにすることです。健康的な生活を送らせてあげてください。新しいフェレットをお迎えしたときは古くからいるフェレットがストレスにならないよう、すぐには一緒にせずに、時間をかけてお互いに慣らしていくこと、引っ越しやどこかに預けるときは、ストレスを与えないように、使い慣れた寝袋などはそのまま使うこと。高齢のフェレットは他人のフェレットとは遊ばせないこと。等です。

動物病院の院長先生のアドバイス

グリーンウィルス=伝染性カタル性腸炎の原因はコロナウイルスです(緑色の便をすることがあるためこの呼称)。発症すると腸粘膜に炎症を起こし、水分や栄養の補給を困難にします。ウイルスが弱いので発症率は低く、早期治療により死亡率も低いようです。

下痢や嘔吐を起こすフェレットの腸コロナウイルスで、類似した猫伝染性腹膜炎(FIP)に極めてよく似た、全身感染を引き起こして様々な臓器に悪影響を及ぼすフェレット全身性コロナウイルス感染症が近年国内で報告されていますが、正確な情報も乏しいのが現状です。フェレット全身性コロナウイルス感染症のフェレットの多くは若齢に多いことがわかっています。

ストレス、集団飼育で発症が多発しやすいです。予防法がなく、ただ治療と栄養管理する他ないのが現状です。早期治療これに心掛けるほか対策はないと思われます。

伝染性カタル性腸炎はフェレットの伝染病と言われていましたが、フェレットが潜在的にもっているコロナウイルスがストレスなどで活発化して腸炎を引き起こされるものという説が本当です!どうも悪玉コロナに感化されて善玉コロナが悪玉(病原性)になり得るようです。ほとんどのフェレットが体内にコロナウイルスを潜在保持しています。

お迎え症候群での緑の下痢便は、かならずしもコロナウイルスが原因とはいいきれません。ストレスは起因しますが、他の原因の場合も多いです。

動物病院の院長先生のアドバイス2

コロナウイルスは現時点においても詳細が不明な、しかしながら昔からいわゆるグリーンウイルスとして知られていたウイルスです。ネコのFIPウイルスと親戚関係のウイルスであり、猫の場合にも治療法がないのと同様にフェレットにおいても有効な治療法がなく、非常に厄介なものと思っています。最近まではウイルスの検出方法が大学の実感室レベルであり信頼性を欠く状況でしたので私はウイルス検出目的の検査は実施せず、臨床症状と血液検査所見からの推定での診断を行っておりましたが、今年になってから、マルピーライフテック株式会社という検査センターが商業的に検査を実施してくれるようになりましてので、今後はこの検査センターを利用してウイルス検出による確定診断を行うことができるようになっています。しかしながら、確定診断がなされても、治療法がないのは変わりません。これまでと同様に対症療法のみとなります。

少し前の大学での発表では、日本国内のフェレットの糞便から半数以上の割合でコロナウイルスを検出したとの報告があり、やはり国内フェレットの多くにこのウイルスは存在しているものと思われます。ただし、感染していても発症に結びつかないことが多くあることも事実のようです。

いわゆるお迎え症候群によって難治性の下痢を発症する場合などにコロナウイルスが関与している疑いはあると思います。当院では今後このような難治性の下痢を示すフェレットの糞便を積極的に検査に出してより一層正確な実態を把握していこうと思っております。

大事な点は、昔からある病気であって決して最近新たに発生した病気ではないことだと思います。確かにこれまでも下痢が治らずに命を落とすフェレットはいましたが、そのような場合が今後において増えるわけではないということだと思います。あえて言えば、不幸にして下痢症状が治らずに命を落としたフェレットの飼い主にとって、原因不明の難治性下痢ではなく、その原因がコロナウイルス感染であると理解していただけるようにこれからはなるということでしょうか。 

Mary Van Dahn獣医師のアドバイス

  1. ECEのコロナウイルスは胃や小腸を攻撃し、栄養や水分の吸収を抑制します。フェレットの胃や腸のために吸収のよい食事を与えなければいけません。病気の動物に使われる高カロリーで消化のよいHill's prescription Diet a/d缶1缶に人間用の補助食品アイソカルを100〜120g、ティースプーン1杯のバターを混ぜて作ります。1日に50g程度を2〜4飼いに分けて与えるように試みてください。水で薄めて注射器で強制給餌することも可能です。
  2. 胃潰瘍のための治療薬PepcidA/CもフェレットのECEに効果があります。快復するのに長期の日数がかかるものの口内炎をおこすおともなく、胃や腸を快復させます。なによりも無味で少量のためフェレットが嫌がらない利点があります。
  3. ECEの症状があったフェレットに、すぐにPepcidA/C液を10cc1〜3回与え、3週間投与をしたところ、ウイルスによる胃潰瘍を防止できました。
  4. Drsusan Brown医師は、激しい下痢のフェレットにImodium液体を1cc内服させます。また必要に応じて1〜4日間10〜25ccに希釈したものを1〜2回与えつづけることを薦めています。水下痢便が軟便になってきたらImodiumの投与を中止します。連続して4日以上は与えてはいけません。
  5. PrednisoloneもECEによる炎症を抑える効果があります。1〜2週間は1日1回の内服。それ以後は1日おきに1回の内服。1回に25〜50mg。Prednisoloneは糖尿病のフェレットには有害であるため、処方をはじめる前に血糖検査を必要とします。
  6. 早期治療においては、Amoxicllin(アモキシリン)がよく使われます。抗生剤は使用しません。投薬と食事療法を同時に行うことが大切です。

情報協力:犬山動物病院様、ネイチャーズアニマルホスピタル様、Mary Van Dahn様

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