投稿71:溶血性貧血

最初気がついた症状は:
急激なるいそう。食欲不振。下痢。下血。倦怠感(見た目)。

症状についてコメントがあれば:
2〜3日で,お尻の肉がすっかりなくなってしまったのでは?と思うほど痩せました。食事は,エサだけでなく,飲水もほとんどしなくなりました。下血は,赤色〜黒色便でした。

どんな検査をしましたか:
診察(バイタル測定,体重測定,触診)。腹部X線撮影。血液検査(生化学,末梢血)。

診断結果は:
腹部X線撮影は異常なし。著名な体重減少(1kg→700g)。総ビリルビン値の上昇(直・間は測定せず。肉眼的にも黄疸傾向あり)はあるが,肝機能は正常。極度の貧血傾向があった。現在,副腎腫瘍の治療中(1回/月,リュープリン注射)であるが,それとの関係性はなく,最終的には溶血性貧血と診断。受診時の状態はかなり悪く,体温の減少も見られた(36℃台)。当初は,十二指腸付近の腫瘍も疑われた(総胆管の圧迫によるビリルビン値上昇および消化管出血→貧血)。

治療方法は:
受診時はとりあえず補液と,消化管出血に対する処置(アドナの坐剤?を使用したようですが?)。ICUの入院となる。2日目以降,補液により,脱水の改善と共に総ビリルビン値が若干低下。貧血傾向はすすみ,PCV約35%前後。肉眼的にも貧血が見られる。消化管出血は止まった様子。体温も36℃台で推移。4日目以降,消化管出血は見られないが,貧血傾向は強くなったため (PCV22%まで低下),massではなく,溶血性貧血の疑いが濃厚になる。体温は38℃前後に回復。ステロイド剤のIV開始。その2日後頃から反応があり,PCVが徐々に回復してくる。それと共に,食欲も徐々に回復。PCV30%程度まで回復した頃,内服に切り替え。その後2日間ほど様子を見て,PCVの安定を確認してからルートの抜去,退院となった。退院時,PCV35%程度,総ビリルビン値正常。

その後の経緯は:
自宅では,1日2回のステロイド剤の内服を継続。今後,定期的に血液検査を実施し,薬の減量をしていく予定。副腎腫瘍の治療は,現在中断している。また,ステロイド剤を多量に使用しているため,ジステンパー予防接種もできない状態。フィラリアの内服については検討中。ルートの跡のテープかぶれがなかなか治らないが,これもステロイドの副作用と関係あるか不明。とりあえず化膿する様子はないので,観察のみ。

他の飼い主さんにアドバイスがあれば:
受診時,体温の低下も見られたため,いつ何があってもおかしくない状態でした。あと一日受診が遅かったら,間に合わなかったと思います。動物は毛が生えており,また,トイレの砂も色のついているものを使用していると,黄疸などの症状がみつかりにくいのですが,陰部の周辺が尿で黄染したり,というところが発見しやすいかと思いました。また,貧血も,歯茎や耳の内側の色などから観察できますので,体重減少および食欲減退,易疲労感などの症状があったら,見てあげるといいのではないでしょうか。

投稿:匿名希望様