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ハリネズミ健康情報

ハリネズミ健康情報 目次
ハリネズミの生物学値
ハリネズミの栄養学
病気について
針抜けについて
血液生化学値
ナデナデで健康促進


ハリネズミの病気

ハリネズミは本来、とても丈夫な生き物で、間違った飼育をしない限り病気にはなりにくいですが、栄養のバランスが乱れた食餌、過度のストレス等を続ける事により、病気になりやすくなります。逆にこれらを防ぐことが疾病予防に繋がります。また ハリネズミは抗生剤に過敏に反応する場合があります。体重から正確な投与量を計算するとともに、強い作用のあるものはなるべく避けるようにします。また乳酸菌製剤を同時に与えないと腸の抗生剤の作用で腸の動きが悪くなることがあります。お薬をどうしても飲ませる必要があって、なかなか飲んでくれない場合はヤギミルクに混ぜて飲ませるとうまくいくようです。

★食欲が無い/食べ方がおかしい・・・

ハリネズミの食欲不振は非常に多く、また原因も多種多様です。病的で深刻な食欲不振も有れば、緊急性を伴わない食欲不振もあります。食欲不振になった場合、なってしまった前の段階の症状、後の症状をよく観察して、獣医師の診察を受けるかどうかの判断基準にされるといいでしょう。

○環境性食欲不振

環境の変化(引っ越し・リフォーム・ケージの変更・近隣の工事・新しい家族/動物が増える)により起きる食欲不振です。ハリネズミは臆病で神経質な傾向が有りますので環境に馴染めば自然と食欲が出てきます。ただし、塗装(ペンキやシンナー)に関しては、臭いに対して非常に敏感な動物の為、中毒症状も起こす場合があります。このような場合は至急獣医師の診察をうけましょう。飼い主さん自身の化粧品・香水・ヘアトニック・タバコ・防虫剤・芳香剤・お香・消臭剤・ハンドクリーム等の臭い、成分が原因の場合もあります。

急な冷え込みや寒さも食欲不振の原因です。32℃以上の高温も食欲低下や睡眠過剰になりやすいです。温度設定を確認して、ケージ内を快適にしてあげてください。

○フード自体の原因(偏食)

フードの主原料の栄養的な変化や風味の変化(同じ銘柄のフードでも製造時期によっては、突然食べなくなる場合もあります)、おやつばかりを与え続けたり等が原因で、ハリネズミは食欲不振や偏食になる傾向があります。体調不良による食欲不振より、偏食が原因の食欲不振は改善にかなりの努力が必要です。

普段から2種類以上のフードを混合して与えると、偏食防止に役立ちます。1種類だけ与えていると、飽き足り、原材料が変わると食べなくなることがあります。

牛肉、馬肉、レバー、ササミ(肉類は必ず火を通す)ミルワーム等の虫類、粉ミルク、粉チーズ、ゆで卵、カッテージチーズ等は嗜好性が高いのでこれらの食材に、粉にしたハリネズミフードを少し振りかけます。それで食べてくれる様でしたらば、比率を少しずつあげていきます。食べが悪くなったら、一端食べた比率まで戻します。これを何度か繰り返して、ちゃんとしたフードに戻せる様にします。これらの食材は、高カロリーのため、ハリネズミは好む傾向があります。ただし、食餌のメインとして使用するには問題があります。(肥満等)勿論これらの食材は、食欲不振が戻った時点で、おやつ等に使われる事は問題はありません。病的な食欲不振時にも有用な食材です。

※当社では温度を一定にさせ、(急に暑くなったり寒くなったりしないよう調整)専用フードの他にマーシャルフェレットフード等の臭いの強いフードを混ぜてドロドロにして与えたり、コオロギパウダーを振りかけたりしてもいいです。ミルワームやピンクマウスも食欲増進にさせる食材でもあります。

【お客様からの投稿より】
ある日、インターネットでハリネズミがリンゴが好きという話を聞いて、さっそく与えてみました。とてもおいしそうに食べました。ところが、普段のフードをまったく食べなくなり、リンゴしか食べなくなってしまいました。味覚が変わってしまったようです。リンゴだけを与えていたら便が黒いタール状になってしまいリンゴはやめたのですが、新しいフードを見つけるまでとても苦労しました。腸炎をおこしていて、血液中の白血球が高い数値を示していましたので、整腸剤で治療しました。

○口腔内のトラブル

腫れや炎症:口の中におできや腫れ、炎症、腫瘍がおきる可能性があります。唾液腺腫もありえます。あごが膨らみ、口からよだれのような分泌物(アンティングの泡とは違います)を出します。ハリネズミは口のトラブルが多いので、エサの種類やふやかし方などの注意が必要です。 麻酔をかけて口の中を検診したりレントゲンをとって判断する必要があります。抗生剤投与治療が必要です。

(あごから喉にかけて腫れているハリネズミ)

歯周病・虫歯:ハリネズミは野生化では、甲虫類を食べる事により、歯石を予防すると言われます。コオロギは予防に役立ちます。歯周病は口腔内(歯・歯茎等)のトラブルを総称して、歯周病と言います。缶詰・ふやかしたフード等を与えられているハリネズミは歯石がつきやすい傾向があり、糖質の高い果物やフード、ミルク等、炭水化物の多い食餌(パン・クッキー)では虫歯等になる傾向があります。また偏った食餌により、ビタミン・ミネラル不足による抵抗力の低下が原因で、歯肉炎等や口内炎が起きる場合もあります。またハリネズミは口腔内に雑菌が非常に多く、硬いフードのかけら等で口腔内を傷つけ、同様の症状が出る場合も多々あります。また、ハリネズミ同士が喧嘩して噛むと相手が炎症をおこしやすいので注意してください。


(糖分の多いフードや甘みの強いミルクで歯の変色の事例が増えています)


(虫歯を放置すると歯が抜けていくことがあります)

血腫:人間と同じように血豆が口の中にできることがあります。ケージの床に血がついていて、怪我がなく、糞尿に血が混じっていなければ、血腫の可能性があります。口腔の粘膜が傷ついて血豆ができ、それが破裂して血を吐きます。たいていは、1回だけで続くことはありません。治療は必要ありませんが、数回続くならビクタスのような抗生剤を与えるのがいいでしょう。エサはふやかして与えることで、口内に怪我をすることを防ぎます。またふやかしたエサは熱くないようにしましょう。

口腔癌:歯が歯が抜け始めるのは、歯周病や虫歯などが原因なのですが、口腔内に炎症や腫瘍ができて口腔癌に進行する場合があります。砂糖の含まれた甘いフードやおやつを与えないこと。固いフードの破片で口の中を怪我させないこと、雑菌の多い昆虫を与えないことで予防してください。

その他:ベビーのハリネズミの場合、食器やケージの網に、歯で強く噛んで、歯を抜くことがあります。その時、くしゃみをしながら歩くので、血が噴霧されたような状態になることがあります。数日でおさまります。固いフードを噛んで、歯が折れて血が出ることもありますので、フードの固さにも注意しましょう。


(口の中の疾患が多いので、エサはふやかして与えましょう)

【お客様の投稿より】
我が家のはりねずみが、歯が三才過ぎたあたりに、歯が抜け始め、最期は口腔癌でした。
ミルワーム以外に、もう少し硬い昆虫も食べさせたり、ちょっと嫌がっても、丸くならない子でした、
ガーゼで口腔内を拭いてあげたりしてあげたら、違っていたのではと、後悔しました。
でも、お水もずっと頼んできたから、お腹をこわすことなく、四年近く元気に過ごせました。
ありがとうございました。
高齢になる三才前から、ケアをどうすべきか、もっと考えておけば良かったと思いました。
はりねずみ通信、楽しく拝読できて、ありがとうございました。

○その他

腸内異物:フードがこぼれて臭いの付いた布・餌入れに入った敷き材・ビニール・プラスティック食器の破片・固いフードの粒などを飲み込み、それらが胃や腸に溜まり、胃壁、腸壁に傷を付けたり閉塞を起こします。解剖した結果、皮のついたリンゴのかけらが出てきた事例もあります。特にベビーに多く発生する傾向があります。大人のハリネズミにはめったにおきませんが環境や敷材を変更した直後だけは注意する必要があります。食欲不振の他に、歩行がフラフラします。痛みがあれば鳴くことがあります。腹部膨満・元気消失・多飲・排便量や形態の変化・血便・下痢等が現れることもあります。閉塞を起こした場合は早急の処置が必要になりますので、直ぐに獣医師の診断(レントゲン)を受けましょう。


(胃の中に異物の影があります)

腸閉塞の症状のハリネズミ動画

便秘:便秘は水分不足や敷材を食べてしまったことが原因になりやすいです。餌は水でふやかして水分を補給させてみてください。消化の悪いエサが原因の場合もあります。もし敷材を齧った形跡あれば、腸閉塞も考えられます。敷材の変更も考えてください。ごくまれにミルクや穀類の摂取で腸にガスがたまることもあります。もし購入前からでしたら、寄生虫起因も考えられるので検便が必要となります。ほかに腸の病気(腸捻転等)も考えられるので、食欲がなかったり元気がなければ獣医さんに相談してください。


(肛門が便秘で膨らんだハリネズミと便秘時の便)

敷材による腸閉塞:コーングリッド(トウモロコシの粉末)という敷材を使って、食べて腸に留まってしまう事故がおきることがあります。食べてしまうハリネズミもいれば食べないハリネズミもいます。食べてしまうと溶けないので、注意が必要です。


アンティング:見慣れない物や強い臭いに遭遇するとアンティングと呼ばれる動作を行うことがあります。泡唾液を口いっぱいにして何度も舐める行為のことです。この理由はまだ不明ですが、天敵から身を守る、針を清潔に保つ、寄生虫対策、性的興奮とも言われています。(病的な物ではありません)時々、敷き草や目新しいフード、生肉などを食べて同様な行動を取るハリネズミがいます。これもアンティング行動の1つと思われています。

(ハリネズミのアンティング)

★お尻が汚れている・・・

ハリネズミは消化が早い動物のため、便の形態は若干緩い傾向があります。正常な便としては、形状はバナナ状で、指で軽い力でつまむとつぶれ、臭いはほとんど無く、色は薄茶〜こげ茶(色は食べ物により変化)になり、以上な便として、ペースト状〜水様便、悪臭や生臭い臭いを発し、緑色や黒色をします。また尿道・肛門付近や生殖器回りが血や分泌物で汚れている、それらが敷き材に付いている場合、内臓系疾患や生殖器系疾患また泌尿器系疾患が考えられます。これらの疾患は重症化しやすいので、早急な処置が必要です。また一部の内臓疾患では、人畜共通感染症もあります。

○下痢(寄生虫・細菌性)

コクシジウム症:急激なストレスにより発症する場合があります。(温度変化・移動のストレス・幼弱個体の飼育等)初期症状の発症は少なく、重症化すると、食欲不振、下痢、元気消失等の症状が出ます。多頭飼育している場合は、まめな掃除とケージ・食器・巣箱の消毒等が感染を防ぐ方法です。なるべくハリネズミにストレスをかけない環境作りを心掛けましょう。検便より、虫体を確認します。

サルモネラ症(人畜共通感染症):サルモネラ菌はほとんどの動物・昆虫が保菌されると考えられています。特にハリネズミの場合(野生種)は甲虫類や昆虫類、死肉、小型野生動物を補食する事により感染すると考えられています。繁殖所自体に長期感染が見られたり、一般飼育下でも、生肉・生水・生卵を摂取したり、野生動物や害獣類との接触、野外の散歩時に直接土に触れたり、昆虫やミミズを補食する事により感染する可能性があります。大半の場合は無症状ですが、症状的には、下痢、食欲不振、元気消失、体重減少、重症化で急性敗血症となり命に関わる場合があります。治療としては獣医師の元での菌分離、対処療法になりますが、発病した場合の治療は難しいです。また人に対しての感染性が高いので、発病した場合ケージ、食器、巣箱、トイレなどの消毒(熱湯や専用の消毒剤、漂白剤が簡単ですが、ヒビテン溶液等がおすすめです)を徹底して行います。ハリネズミに接触した後は、薬用の石鹸(できれば殺菌効果の有る物)での手洗浄を徹底します。特に抵抗力の低い子供には注意が必要です。

胃回虫/食道虫症:これらに感染している昆虫類を食べる事により発症します。一般的には無症状です。重症化で下痢、食欲不振、体重減少が起きます。獣医師の元で駆虫をしてもらいます。

消化不良:ハリネズミの腸はそんなに長くないので、食べ物によって消化不良をおこしやすいです。まずエサの改善をしてください。消化しにくいものはやめて、フードをしっかりふやかして与えてください。気温や騒音、振動、恐怖などのストレスが原因で消化不良性の下痢をおこす場合もあります。また敷材の破片がエサの容器に混入しないように注意してください。

脱腸:
果物など消化のよくないものを与えると、腸や肛門に負担がかかり、脱腸をおこすことがあります。食事は消化のよい状態(ふやかす等)で与え、果物や野菜は避けます。もし、脱腸をおこしたら、ケージの底はペットーシーツに変えて清潔にします。自然にもとに戻る場合もありますが、なるべく早く獣医さんに、薬を塗ってもらい、腸を戻す処置をしてもらいます。

緑色のドロっとした便:これは腸壁粘膜が剥がれて、便と一緒に排泄されたものです。1回だけなら心配はいりません。続く場合は、環境のストレス、寒さのストレス、消化不良(エサがきちんとふやかされていない)、異物の飲み込み、腸内細菌のバランス崩れ、内臓疾患が考えられます。いい環境と良質のエサをしっかりふやかして与え、場合によっては乳酸菌サプリメントを与えて様子をみます。改善されない場合は検便検査や腸検査をしてもらいましょう。


(正常な便:色は茶またはこげ茶)


(消化不良の便と内臓疾患の便)

脾臓肥大:原因は不明ですが、レントゲンを撮ると腫瘍と誤判断されやすいです。内臓出血や緑の膵液を出すことがあります。手術で切除する方法があります。


(脾臓肥大における緑の膵液)

糖尿病:発症原因は不明な点が多いです。多飲多尿、痩せてくる等の症状があります。糖分の多いエサやおやつの過剰摂取が原因となりやすいです。有効な治療方法は主に食事療法になります。

熱中症:室温が急に35度以上になると熱中症の発作をおこすことがあります。高温が続くと夏眠(ずっと寝ている)の状態になることがあります。窓際や車の中には注意が必要です。発作には呼吸障害が伴います。空調をした環境で飼育してください。

急性熱中症の症状をおこしたハリネズミの動画(Youtube)
(飼い主さんの同意を得て撮影・公開しています)

冬眠の失敗:ヨーロッパハリネズミ(ナミハリネズミ)は冬眠をする習性が有りますが、アフリカンハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)は冬眠をする習性がありません。ただし、気温が急激に下がると、仮死状態に陥ります。このような場合は早急に起こすことが大切です。ペットボトルで簡易湯たんぽを作り、ハリネズミを小さな入れ物にいれて、暖めます。起き出したら、ハチミツ水やミルクを与えます、そしてできるだけ早く獣医師の診断をうけましょう。深い仮死状態に入ってしまったハリネズミは、たとえ目が覚めても、極端に弱り、多臓器不全を起こしている場合があります。


(冬は保温が大切です)

育児放棄:ハリネズミは出産後に飼育放棄するケースもあります。そんな場合は人工授乳で育てる必要が出てきますが、牛ミルクでは下痢をおこしてしまいやすいです。ヤギのミルクで育てる方法があります。

皮膚の炎症:ハリネズミがダニに感染していたり、真菌症だったりすると、痒くて皮膚をかきむしることがあります。顔やわき腹などに掻いた痕跡や炎症があった場合は、皮膚検査をしましょう。



怪我:敷材の破片、設置の小物類、ホイール、ケージの網の錆などで、怪我をすることがあります。足の裏や鼻の頭におきやすいです。怪我の原因になるものを変更したり、ペットシーツを床に敷いたり(清潔のため)します。患部が腫れてきたり、出血が続く場合は、獣医さんに消毒や炎症止めの処置をしてもらいます。


(鼻から出血のハリネズミ。ダニが原因で痒くてケージ内であちこちに鼻をこすりつけで怪我をしましたしました)


(爪先の怪我は伸びすぎてひっかけたり、爪切りの失敗でおきやすいです)


(足にカサブタのように見えますが、オスの精液が固まったものです)


参考書籍 エキゾチックアニマルの診療指針Vol.2 エキゾチックアニマル臨床シリーズ「飼養と栄養」 

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作成: SBSコーポレーション